戦場のヴァルキュリア3 誰がための銃瘡

クリエイターズインタビュー

第1回 / 第2回 / 第3回

OVA化が発表され、2011年春に展開を予定している「戦場のヴァルキュリア3 誰がための銃瘡」。3週に渡ってお届けしましたクリエイターズインタビューも今回が最終回。最後に語っていただいたのは本作のこだわりのポイント。それは・・・“戦車”!? 本作のテーマ、戦争映画についてなど色々語っていただきました。

――本作のこだわりの描写はどこになりますか?

近藤:戦車です(笑)。ミリタリー描写は地味だけど大変です。派手にどっかんとやるならアニメ的に楽なんですが。そうではなくて、重さであるとか、存在感、銃器の扱い方、大物から小物まで道具感と言いましょうか、そういったものを頑張ろうかなと思っています。もちろんキャラクターが芝居するのは当たり前な上で、道具のキャラクター性というものも出せるといいなぁと。

ネームレス 戦車設定

大野木:シナリオ的には、戦ってれば腹が減るし、疲れれば眠くなるというところを大事にしたいと思ってます。人間腹が減れば文句も付けたくなるし、だから補給が来なければみんな文句を言うわけです。そういう時にクルトがビシっと一言いうことで、部隊を纏めて新たな戦場に向かうとかそういうところを気をつけました。個々人が何を考え、どのように行動するか、それにこだわっています。

――作品のテーマを一言でいうと何になりますか?

近藤:名前を取り戻すということは自分を取り戻すことでもあります。自分がなければ仲間になれない。自分=仲間という一見背反するものがテーマです。自分と戦わないと仲間との距離も詰められない、そうしてひとりひとりが立つことで“みんな”という存在になるということです。

本山:補給もなく、過酷な戦況といういつバラバラになってもおかしくない中でどうやって彼らは纏まっていられるのか、「ミンナガンバロウ」という8文字の裏側にあるいろんな問題をどう乗り越えていくのかといったところがひとつひとつ描かれているOVAだと思います。

大野木:過酷な状況下で自分は何のために戦うのかということだと思うんです。無論仲間のために戦うということもあるとは思うんですが、そこからみんなで逃げ出してもいいのに、戦いを選択するということの裏側には「人々の笑顔を守る」という思いがあり、そこがテーマです。

――『戦場のヴァルキュリア3』は言うまでもなく戦争を描いた作品ですが、参考にされた映像作品や、見ておくとより本作が楽しめる作品というものはありますか?

近藤:近藤:最初お話をいただいたときに『レマゲン鉄橋』のイメージがありまして、あれは当時としてはリアルだったし、派手だし、登場人物たちも飯食うし、喧嘩もするしと思っていました。それに加えてイスラエルのアニメーション作品『戦場でワルツを』。これ以降に戦争ものを作るにあたって、見ておかないとまずい作品ですね。

大野木:『戦場でワルツを』は、いろいろな意味で戦争映画ファンは必見の作品です。ちなみに、キャラクター的には『戦略大作戦』です。

近藤:独立愚連隊的な正規軍ではない部隊ということですね。

――クルトというと『鷲は舞い降りた』のクルト・シュタイナーをイメージしてしまうんですが。

近藤:僕はクルトというとフォッケウルフやTa152の開発者であるクルト・タンク(※3)を思い出しますね。

本山:クルトというのはまぁドイツやあの辺りでは一般的な名前ではあるのですが、第二次大戦期の天才とか、偉人とか言われる人の面影をもらうという意味でつけたところもありまして、実はクルト・シュタイナーやクルト・タンクは正解の1つだったりします。こんな話、どこでもしたことはないのですが(笑)。

――音楽はゲームと同じく崎元さんが担当されますが、TVアニメ版のようにゲームサウンドを多用されるのでしょうか。

近藤:そうですね。そういう意味ではゲームの雰囲気を再現する形になると思います。

※3 クルト・タンク

第二次大戦中に活躍した航空エンジニアにしてパイロット。ドイツ空軍の主力戦闘機であったFw190は高高度での性能が低下するという弱点を持っていた。これを高高度戦闘機として改良したTa152の開発が氏の業績として有名。

最後になりますがファンの皆様に一言お願いします。

近藤:『戦場のヴァルキュリア』はゲームも3作目が発売され、世界観も確固たるものがあるので、その軒先を借りて面白いものを作れるなと思っています。ゲームとシームレスに楽しめるものだと思っているので、是非ゲームを遊んでいる方は見てください。

大野木:OVAというのはTVと違ってお金を払っていただいて見ていただくものなので、それに見合ったクオリティのシナリオを書いている自負があります。『戦場のヴァルキュリア』はシリーズを重ねている作品でもありますので、ファンの方々を裏切らないようにしたつもりです。だから買って (笑)。

本山:ゲーム側の担当からすると、ゲームで描きやすいネタやシチュエーションがありますし、映像の方では映像でしか描けないシチュエーションがいっぱいあるんですが、それが今回近い時期に商品化されるということで、ありがたいタイミングではあるかなと思っています。ゲームから入ってアニメーションを見る方には「戦場のヴァルキュリアの戦場ってこういう感じなんだ」と思ってもらえ、アニメから入った方はゲームをプレイすることで「こういうストーリーなんだ」と理解してもらえる。そういう意味で相乗効果が発揮されるタイトルだと思います。毎週毎週脚本の打ち合わせをさせて頂いて、手ごたえを感じています。是非楽しみにしていてください。